韓国ところどころ

ソウルの路地裏や地方のステキなところをご紹介。
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慶州・ナザレ園
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    ある団体から、慶州(キョンジュ)のナザレ園に行ってお年寄りのみなさんに歌のプレゼントをするので、興味ある人は連絡くださいとのお知らせが来ました。
     

    慶州ナザレ園は仏国寺や石窟庵など、新羅時代の歴史文化遺産で有名な古都慶州にあります。創設は1972年。1945年の終戦(韓国では解放)後に朝鮮半島に残った日本女性のシェルターとして知られています。どんな施設であるかは、1982年に出版された上坂冬子著『慶州ナザレ園―忘れられた日本人妻たち (中公文庫)』に詳しいです。現在は、日本に身寄りのない女性たちが帰国せずにそのまま終の棲家として住んでいて、高齢化にともない施設は養老院の性格が強くなっているそうです。

     

    古都慶州らしく、韓国の伝統建築様式を取り入れた建物が並びます。※写真はナザレ園建物ではありません

     

     
    創立者は金龍成(キム・ヨンソン)先生。もともと咸鏡道(ハムギョンド、北朝鮮に位置)で福祉施設を経営していて、1950年に勃発した朝鮮戦争後に慶州に移りました。そのときの戦争孤児や戦争未亡人、シングルマザーらを保護するためにナザレ園が作られました。その救護対象に日本人女性も含まれていたのですね。“真の愛の尊さと人間に国境はない”をモットーに活動に尽力された金先生は2003年3月に亡くなり、海の見える小高い丘に眠っています。

     


    金先生が亡くなった後は、たまたま昔ボランティアで施設を訪れてそのまま、おばあちゃんたちの世話をするようになったという宗美虎(ソン・ミホ)先生が、意思を受け継いで理事に就任、運営をしています。応接間で上坂冬子氏出演のテレビ番組を録画したものを見ました。上坂氏は番組の中で、慶州を旅行していて、日本人妻がたくさんいる不思議な福祉施設があることを偶然知り、本当にびっくりしたと言っていました。

    ナザレ園に現在入園中の日本人女性の数は、聞き逃してよくわからなかったのですが、90代(一人は100歳)の3、4名が寝たきりや重度の認知症とのこと。今まで約140人が日本に永住帰国しました。

     


    ナザレ園は、現在は大きな総合福祉施設の中の一つとして運営されています。他の施設には、虐待を受けた子どもからから認知症のお年寄りまで、保護・介護が必要な人たちが一緒に暮らしています。立派な棟が幾つも敷地内に並んで建っていたので、正直驚きました。礼拝堂があり、日曜のお祈りが終わったら私たちが歌う時間を作るとのこと、緊張します。礼拝堂には全部で80人くらいでしょうか、ほとんどが高齢のおばあちゃん。ピンクと紫の洋服を着ているので場内は明るい雰囲気。日本人おばあちゃんはそこに4名ほどいました。


     


    私たちは男女合わせて20名ほど。日本の曲は「鯉のぼり」「赤とんぼ」「夏の思い出」「ふるさと」「春」など。そして韓国のお年寄りが多いので「バウィソム」「黄色いシャツを着たあいつ」「サランへ」などを歌いました。「ふるさと」で日本人おばあちゃんが涙をハンカチで拭っているのが見えました。私たちのような団体が日本から結構きて、その度におそらく「ふるさと」を歌っていると思います。慣れ親しんだ歌は、何度聞いても胸に響くものなのでしょうか。
    「黄色いシャツを着たあいつ」は、私は初めて聞く歌でしたがスイングジャズのような陽気な歌で、みなさん手拍子を楽しそうにしていました。

    私自身、日本のいわゆる唱歌を歌って、あらためて日本語の持つ響きの美しさにちょっと感動しました。島崎藤村詞の歌はかっこよかったな。

    なにゆえみなさん高齢なので、歌の披露後はすぐに休みに戻って行きました。

     


    私たちはナザレ園の中の見学を急ぎ足で。この日は汗ばむ陽気でしたが、オンドルがついて床面はあたたかく、個室が広い間隔で並んでいて、とてもきれい。余生を穏やかに過ごしているように見えました。ナザレ園の建物はこちらの円錐スタイル。

     



     

     

    おばあちゃんたちの部屋は日本グッズでいっぱいです。
     



    理事は、認知症の方の面倒はほんと大変なんですけどねえ、まあおかげさまでなんとかやっていますと微笑んでいました。おばあちゃんたちは納豆と鮭の切り身が大好き。鮭は切り身にして冷凍庫にストックし、納豆は韓国で買うと高いので、日本にいったときにたくさん買ってくるとのこと。
    施設が立派で充実しているので、韓国各地から多くの人が施設見学に来るそうです。施設はすばらしいけれど、見えないところでの苦労は想像をこえるかとおもいます。

    韓国には芙蓉(ふよう)会といって、1945年以前に朝鮮の男性と結婚して、その後も半島に残った在韓日本人女性の集まりがあります。1963年に発足、韓国国内の各主要都市で活動しています。私の横の席に座った女の子は、卒論が在韓日本人女性をテーマにしたものだったので、とても詳しくいろいろ話をして楽しかったです。ソウルの芙蓉会にいた某おばあちゃんがいたから、びっくりした、いつのまにかナザレ園に入園してたのねーと感慨深く語っていましたよ。

    ちなみに彼女は、ハンセン病患者が集まって暮らす定着村などにも行く機会があったそうで、かつて統治時代に強制隔離された患者らが多く住み、現在もハンセン病患者約990名がいるという国立小鹿島病院のある小鹿島(ソロット)の話で盛り上がりました。私も彼女も、暗い歴史とかなんとかいってるけれど、観光地でたくさん人がいて驚いたという共通の感想でした。私は建物がみたくて、神社を見たくてという動機がちょっとアレですが(汗)

     


    彼女は「在韓日本人女性は確かに二度の戦争の犠牲者とも言えるけれど、哀れみの対象・棄民と呼ばれることに違和感を覚えて」というのが卒論を書こうと思ったきっかけだったそうです。彼女らは確かに国の状況に翻弄されはしましたが、結構自分の意思で残ることを決めた女性もいたとのこと。子どもがいるから、亡くなった夫の地だから、日本に帰ってもね…という女性の声も聞いてみたかったそうです。

    長くなりました。お付き合いどうもです。慶州、いいところです。
    「サランヘ」のイェイイェイイェイがしばらく脳内ループして困っています。


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    | liumeiuru | ソウル郊外・地方 | comments(3) | - |
    miku (2016/08/18 2:46 PM)
    突然のコメント失礼します。
    私も当施設に見学にいきたいと思っています。
    よければどのように行かれたかなど、詳しくお聞きしたいので、お返事いただければと思います。
    島田富造 (2016/09/09 5:10 PM)
    韓国の空から日本の故郷を、思い出している日本人妻の人達に、私の栽培したりんごを食べて貰いたいのでナザレ園の住所、電話番号を解る方は教えてください
    村岡崇光 (2017/12/26 5:57 PM)
    私は家内と2003年と2014年に二度ナザレ園を訪問しました。最初の時も創設者の一人の金さんは既に他界しておられましたが、園の近くにある小高い丘に、園で他界された日本人のおばあちゃん達の墓地があると聞きました。天気のいい時はそこから北九州の海岸が見えるそうです。なんという温かい思いやりでしょう、と深い感動を覚えました。